キシリトールが心血管イベント増加と関連/ESC2026

提供元:ケアネット

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公開日:2026/09/04

 

 人工甘味料のキシリトールは食品や口腔ケア製品などに広く使用されているが、一般集団における長期的な心血管安全性に関するエビデンスは限定的である。今回、カナダ・マギル大学のThomas M. Zheng氏らの研究グループが、北米と欧州の2つの大規模前向き観察コホートのデータを用いて解析した。その結果、血中キシリトール濃度が高い一般集団において、主要心血管イベント(MACE)リスクが有意に上昇することが示された。本研究結果は、ドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)において8月29日に発表された。

 研究グループは、カナダの「Canadian Longitudinal Study on Aging(CLSA)」から7,651例(追跡期間6年)、および欧州の「European Prospective Investigation into Cancer(EPIC)-Norfolk研究」から1万59例(追跡期間30年)の計1万7,710例の非標的メタボロミクス(untargeted metabolomics)データを解析した。血中キシリトール濃度により四分位群(Q1~Q4)に分類し、初回MACE(心筋梗塞、脳卒中、死亡の複合)発症リスクとの関連を評価した。解析にはCox比例ハザードモデルを用い、年齢、性別、BMI、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙状況などの従来の心血管リスク因子を補正した調整ハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象者1万7,710例(平均年齢60.9歳)において、追跡期間中にCLSAコホートで2,950例、EPIC-Norfolkコホートで5,670例のMACEが発生した。
・従来の心血管リスク因子を調整後、血中キシリトール濃度最高四分位群(Q4)は最低四分位群(Q1)と比較して、MACEリスクが有意に高かった。
-CLSAコホートにおけるaHR:1.47(95%CI:1.15~1.86、p=0.002)。
-EPIC-NorfolkコホートにおけるaHR:1.18(95%CI:1.09~1.27、p<0.0001)。
・中間四分位群(Q2・Q3)を含めた解析においても、両コホートで血中キシリトール濃度が高くなるほどMACE発生率が高まる用量依存的な関連が示唆された。
・サブグループ解析においても、ベースライン時の患者背景や既存の心血管メタボリック因子にかかわらず、一貫したMACEリスクの増加が認められた。

 著者らは、過去の研究で示されたキシリトールの血小板凝集・血栓形成促進作用に触れ1)、明白な心血管リスク因子を持たない1次予防対象者においてもキシリトールが残留リスクを及ぼす可能性があると指摘している。発表者であるMarco Witkowski氏は、「人工甘味料は砂糖より健康に良いと考え消費されており、規制当局からも一般に安全と見なされている。しかし、一般集団における今回の長期的な知見は、われわれがキシリトールの心血管系の安全性についていかに知見が不足しているかを浮き彫りにしている」と、ESCのリリースの中で述べている。そのうえで、製品中のキシリトール含有量が増加し続ける現状を踏まえ、さらなる検証が必要であると結論付けている。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

(ケアネット 古賀 公子)